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横浜市におけるスズメバチの発生数の変動とその要因
1.はじめに 毎年のように夏から秋にかけてテレビや新聞をにぎわすものの中にスズメバチによる刺傷事故のニュースがある。なぜマスコミをにぎわすほどの話題性があるのか。 毎年40名前後の人たちがスズメバチに刺され、命を落としている。しかも刺傷事故が起きるのは山地、田園だけでなく、全国の都市や その周辺で数多く発生している。 昭和52年から平成10年の間で(社)神奈川県ペストコントロール協会に寄せられる年間電話受付総数を見ると右肩上がりになってお り、その中でもスズメバチによる相談は受付総数の大半を占めていることがわかる。 今回はこのスズメバチの発生数に注目してみることにする。その中でも1994(平成6年)の数字が飛び抜けて多いことがわかる。(近年の約4倍ほど) そして今年平成11年はすでに1000件を越える勢いがある。 ある種の昆虫が大発生したり、異常繁殖したりすることは自然界でよく見られるが、これは自然的要因、社会的要因が影響してくる。 ハチは地域開発などの社会的要因も一部考えられるが、それよりも天候や気象条件などによる自然的要因の影響を受けやすいからではないだろうか。 そこでスズメバチの相談件数と気象条件との関係を取り上げてみた。 2.調査 スズメバチの発生時期 スズメバチの発生で問題が起きる時期は7月から10月が殆どである。(社)神奈川県ペストコントロール協会に寄せられた相談件数を月別に分類してグラフにしたものがある。 これを見ると7月及び10月の件数は割合に低く、大部分は8月、9月に集中しており、この時期に多発し問題が起こることが多い。 この現象は毎年ほぼ一致している。 スズメバチは5月に営巣開始となるが、この段階で気象状況を見ると、平成6年は雨が少なく日照時間が長いことがわかる。 つまり彼らにとっては、自由に餌を探し回ることが出来ると同時に巣作りも順調に進むことになる。 共同営巣期は丁度梅雨期に当たる。梅雨期が長く続くと、餌となる昆虫類は少なく、採取活動も制約される。そのため巣の拡大はおろか、餓死することも希ではない。スズメバチにとって、梅雨期の気象条件は特に重要であり、陽性型の梅雨、あるいは空梅雨であることはスズメバチにとって好都合になるであろう。 また平成7年から平成10年に関しては、目立った数字はなく例年通りの気象になっている。 ただ総合的に過去10年を見ると徐々にその数は増加している。もちろん気象状況も影響するが、その反面で森林の宅地開発などが進み、彼らの住む場所が年々限られてきている。つまり住む場所を失っていくと、私たち(住宅街、ビル、繁華街)の近くに接近せざるを得なくなるため毎年の死傷事故に深く関連してくると思われる。 4.まとめ 年による発生数の増減幅が大きいスズメバチは、生活史に見たように比較的天候など自然条件に影響されやすく、特に梅雨時の平均気温と降雨量に深い関わりがあることがわかった。 一匹の女王蜂が越冬から目覚め5月の建巣期、6月の働蜂の共同営巣期の気候によってその年の発生数が見当できる。 しかし今回の調査では必ずしもデーターが十分とはいえず、見かけの適合性も考えられるので、さらに今後のデーターも加え同様な解析を行い、より精度を高めていく必要がある。 また、この他の種類の害虫についてもこうした方法を用いて発生予測手段を持つことは重要と思われる。 しかし、単に自然的要因との関係だけで発生予測が可能であると限らず、そこには自然的要因に加えて社会的要因が更に複雑に影響してくるものと考えなければならない。 そのため今後も多くの基礎的データーを収集し、個々の要因との関係をより深く分析し、発生予測の手段を模索していく必要がある。 (有)富士消毒 重岡雅也 |