神奈川県内に於ける近年のイエシロアリの分布状況
 

はじめに
 私が、今から28-9年位前に福岡県東区の香椎に住んでいた時期がある。初夏の夕方、部屋の中でヒラヒラと羽の付いた虫が無数に飛び回っている日が3-4日続き、その後全く見当たらなくなった。あれは、何だったのか?疑問に思っていたが、それも日が経つ内に忘れていた、更にそれから何日か経て、和ダンスの一番下の引き出しを開けようとしたところがビクとも動かない、さて困ったと思い引き出しを全部出してタンスを移動させたところ、一番下の引き出しの空間部分に長方形そのままの形でイエシロアリに巣を構築されていた事があった。あわてて、不動産屋さんに連絡をしたところ、シロアリ業者のかたが見えて以前飛んでいた虫はイエシロアリの有翅虫であることを教えて頂いた。この時が私とイエシロアリとの最初の出会いであった。

 福岡から故郷の横浜へ舞い戻り、今のシロアリ業界に携わって、未だ18年位である。その頃より横須賀の基内や厚木基地周辺、磯子区でイエシロアリの発生があるという話をうかがったことがある。15年程前になると思うが(有)サガミ消毒化学の中島杜長より川崎港でイエシロアリの発生があったことをお聞きしたことがある。

 1. 平成13年11月に京浜化工(株)黒田常務及び(有)たかはし工営永倉相談役の紹介で川崎市浮島町の石油コンビナートエ場敷地内の地下ケーブルがイエシロアリの被害に遭いケーブルの穴があいたところに地下水が入ってショートを起こし、パイプラインが再三使用不可能の状態にあるというので工場内を点検させて頂いた、連絡事務所、出荷事務所等幾つかの事務所があり、その内の1ヶ所の事務所脇に置いてある足場板をひっくり返して見たところ、4-50匹のイエシロアリが活動していた。電気保全課の担当者に詳しく話を伺うとパイプラインの被害は15年位前からあったという、その記録が残されている。もともとどっちが先住者であったのか定かでは無いが川崎港と浮島町は京浜運河をはさんで隣り合っており十分、羽蟻が移動できる距離である。

 2. 平成8年7月京浜急行、横須賀中央駅前にある商店街の居酒屋さんから(株)明誠の佐藤つかさがイエシロアリの羽蟻を入手している。この商店街のなかにあるカメラショップでも羽蟻の飛翔が確認されている。

 3. 平成12年6月横須賀市土木部用地課の依頼で、横須賀市三春町の道路予定地となっている所の立ち入り禁止の囲いに松杭が使用されており、その松杭から羽蟻がでるので消毒をして欲しい旨の要請があり、現場調査をしたところ松杭の60%にイエシロアリの生息を確認、隣にある鉄工所、新闘販売所、商店などは、平成9年頃から羽蟻が飛んでいて某消毒業者に施工を依頼したが、施工後も毎年羽蟻が出ているという。

 4. 平成12年6月横須賀市稲岡町の三笠公園内に於いて(株)明誠佐藤司が調査中に発見、その後13年10月の追跡調査では見つけることが出来なかったが、翌年の春に再度確認された。

 5. 平成12年7月東日本日東工一ス(株)の情報により、横浜市金沢区東朝比奈の戸建て住宅を合同で調査、1階浴室外部及び室内よりイェシロアリの羽蟻が発生、窓枠に被害あり床下を点検するも異状はなく、外部基礎に蟻道が2ヶ所上がっていた。浴槽に24時間風呂システムを取り入れており、巣は浴槽の下にあるものと思われる。

 6. 平成13年7月(社)神奈川県PCO協会から横須賀市東浦賀の戸建て住宅でイエシロアリの羽蟻の発生がある、との紹介でお伺いしたところ1階玄関内、2階洋間出窓、室内及び和室に羽蟻の羽が無数に落ちている状態であった。平成12年7月に消毒業者が床下を薬剤処理しているにも関わらず13年6月に再発している。

 私の知り得た情報は、以上のような件数でしかなく情報不足で原稿を書ける状態ではありません。ただ以上の中で気になるのが5と6の物件で、東朝比奈の住宅の庭に土留め用として枕木が3段ずつ何カ所もふんだんに使用されている状態である。

 また、東浦賀の住宅においては1建下に建材店があり、そこでも土留め用として枕木が数10本使用されている。昔、線路で使用されていた枕木とは違い防腐剤やコールタールの塗られたものは、現在ほとんど市場に出回ってはいない。千葉県君津市で住宅の枕木から羽蟻が飛び出した話やDIYで販売用に積み重ねていた枕木にびっしりシロアリが付いていた話を聞いた事があるので近くで枕木を使用している場所があるならば疑ってみる必要があるのではないだろうか。

おわりに
 もっとイエシロアリは神奈川県内で拡大しているはずである、情報が少ないのは何故なのだろうか?ヤマトシロアリとイエシロアリとの区別が付かないとは思えないし、クレームがつくのが恥ずかしいのか、1人占めにしようとしているのか、理由はいろいろあると思われるが、イエシロアリに関しては情報を持ち寄り、みんなで研究し技術の向上を計らないと一番迷惑を被るのは顧客ではないだろうか。

(株) 明 誠

故 佐藤 忠